京都市のやや南部に位置する「東福寺」。
臨済宗の代表的なお寺であり、京都最大の大伽藍※を誇る格式の高さで知られています。
建築開始から幾度となく火災に見舞われ、何度も焼失と復興を重ねた後は、禅宗寺院としての厳格な風貌と木造建築の美しさを保っています。
この記事では、東福寺の見どころやアクセス方法、そして周辺の観光スポットを紹介します。
普段は見られない、非公開の重要文化財をじっくり巡ることのできる特別行事や、紅葉の時期に楽しめる早朝・夜間特別拝観、ライトアップ、そして坐禅会の情報も載せています。
歴史的なお寺や、禅宗の修行を体感できる坐禅に興味がある方は必見です。
※大伽藍:寺の主要な建物のこと
東福寺とは
東福寺は、鎌倉時代前期・朝廷の最高級官僚であった公卿の九条道家が造営しました。
奈良の代表的な寺「東大寺」と「興福寺」にならい、「東」と「福」の字を取って京都最大の大伽藍を目指したことで知られています。
1236年から建築開始されましたが、完成に至るまで3度も火災に遭い、大部分を焼失した後に約20年もの年月を経てようやく完全な禅宗寺院として完成しました。
室町時代の禅僧の生活を伝える建築が特徴的であり、禅寺のなかでも格の高いお寺です。
開山した円爾弁円は、当時の日本の禅僧で初めて聖一国師(僧侶として最高の栄誉)の号を受け、宋(当時の中国)からは日本で最大のお茶の生産地となった静岡茶の原種を伝えた功績もある禅僧です。
東福寺の見どころ

東福寺は大きな伽藍が特徴的で、スケールの大きさと迫力に圧倒されます。
国宝に指定される三門や、本堂、そして開山堂へと続く通天橋など、見どころはたくさん。

三門の左右にある東司と浴室を見ても、禅宗建築の様式を感じられます。
東司とは、禅宗寺院におけるトイレのこと。
禅宗には「徹底的に無駄を省く」という考えがあるため、修行僧が短い時間で一斉にトイレを済ませられるように、禅堂の隣に大きな東司が配置されました。
当時は100人以上の修行僧が修行の合間に一斉に東司に駆け込んでいたことから「百雪隠」と呼ばれていたんですよ。
東福寺の東司は日本最古のトイレであり、浴室は奈良県の東大寺の湯屋に次いで日本で2番目に古いもの。東司も浴室も、重要文化財に指定されています。

方丈(禅宗寺院における僧侶の住居)の東西南北に配された庭園「本坊庭園」は、日本の伝統的様式「枯山水」と市松模様などを用いて設計されました。
モダンで斬新なデザインが魅力で、国指定名勝に指定されています。
滞在時間目安は、1~2時間ほど。
【行事】特別拝観・夜間公開、坐禅会などイベントも豊富
東福寺は、紅葉の時期はもちろん、定期的に特別公開や夜間の貸切特別拝観、そして日曜坐禅会などのイベントが行われています。
なかでも1日5組限定の特別行事「東福寺の至宝巡り」は、普段は見られない重要文化財を見られる貴重なイベントです。
【特別行事】注目!1日5組限定の東福寺の至宝巡り

東福寺のスタッフのガイドのもと、通常は非公開の重要文化財やお堂をじっくり巡るツアーが開催されています。
非公開の重要文化財が見られる機会は大変貴重です。仏像やお堂に興味がある方は、参加してみてはいかがでしょうか。
巡るのは、以下の5つ。
・光明宝殿(重要文化財・一般非公開)
・禅堂(重要文化財・一般非公開)
・本堂(一般非公開)
・方丈(一般公開※本坊庫裡にて抹茶の用意あり)
・通天橋(一般公開)
東福寺は、禅宗だけでなく密教の要素も含まれることから、密教寺院由来の仏像も数多く存在します。通常は非公開の光明宝殿では、重要文化財指定の5つの仏像を管理しています。
わが国最大であり最古の道場である禅堂も、通常は非公開の重要文化財です。

禅堂は選佛場ともいい、「仏を選び出す場所」という意味で修行僧が座禅をする道場としての役割がありました。
もう一つの一般非公開のお堂が、本堂(仏殿兼法堂)。格式高い重層入母屋造の建築が迫力がある本堂のなかには、天井に蒼龍図が描かれています。
方丈と通天閣はガイドが同行しないため、本坊庭園の美しさや通天閣の趣をゆっくり感じられます。

通天閣の周囲には楓の木々が広がり、秋の紅葉シーズンはもちろん春・夏は青々と茂った新緑の絶景は見ごたえがあります。
東福寺の至宝巡り
集合場所:東福寺方丈
受付時間:9:00・10:30・12:00・13:30
所要時間:約3時間半
日程:通年
※10月25日〜12月16日は休止。ほかGWやお盆休み、年末年始も休止の場合あり。
参加人数:1日5組限定
※1組5人以上、あるいは少人数の場合、2組同時に案内する場合あり
拝観料:1人5,000円
申込:075-561-0087
※申込受付は、当日13:30まで
※ガイドは日本語のみ。
詳細:https://tofukuji.jp/special_event
【紅葉】秋の早朝・夜間貸切拝観も必見


11月~12月初旬に見頃を迎える東福寺の紅葉。三門をくぐり、本堂から通天橋を通って開山堂に向かう道のりには、約2,000本もの紅葉が彩っています。
2024年は、11月16日〜30日に早朝貸切拝観が行われました。
多くの観光客で混み合う紅葉の時期でも、早朝は少し落ち着いています。ゆっくり紅葉の美しさを堪能したい方は、訪れてみてください。
また、夜間の紅葉の美しさも見ものです。
夜間貸切特別拝観期間は、通天橋エリアと法堂からライトアップされた紅葉を見ることができます。紅葉と東福寺が彩る美しさは、朝と夜の両方見ておくべき!
※2025年の公開エリアは変更になる場合あり。
早朝貸切拝観(2024年度のもの。2025年度はわかり次第更新)
期間:2024年11月16日(土)~30日(土)
時間:7:30~8:30(最終受付8:00)
受付場所:東福寺日下門前
公開場所:東福寺通天橋エリア・法堂
詳細:https://tofukuji.jp/special_event/morning_viewing/
夜間貸切特別拝観(2024年度のもの。2025年度はわかり次第更新)
期間:2024年11月16日(土)~12月1日(土)
時間:17:30~19:30(最終受付19:00)
受付場所:東福寺日下門前
公開場所:東福寺通天橋エリア・法堂
詳細:https://tofukuji.jp/special_event/night_viewing/
【坐禅会】6月~9月に行われる日曜坐禅会
日々仕事や家事で忙しく過ごしていると、心が落ち着かなくなってしまいますよね。常にいろいろなことを考えていて心を無にするのは難しいという方もいるはず。
そんな方におすすめなのが、坐禅会です。
「坐禅」の坐という字は、土に人を2つ書いていますね。これは、自分がもう一人の自分と対話するという意味があるんだそう。
瞑想して自分自身と向き合うことで、心の平穏を保つという禅宗の根本的な修行を体感できると言えます。
「いくつも雑念を流していくなかで自分の身体はこの世に形あるものとして存在するための”借り物”であり、背後の大きな存在とつながれている、そんな不思議な感覚になった」という体験者も。
ぜひ、その不思議な心地よさを体感しに訪れてみてください。
日曜坐禅会
毎週日曜日に開催(法要時は休み)
6月8日・22日・29日
7月6日・20日
8月24日・31日
9月7日・14日・21日・28日
時間:AM6:30~7:00
場所:大禅堂
注意
・開始10分前には必ず集合し着坐していてください。
・なるべくゆったりした服装でお越しください。短いスカートやタイトなズボンは適しません。
・警策で叩く場合に適さないため、フード付きパーカーは避けてください。
東福寺へのアクセス方法

東福寺には、電車かバスでアクセスできます。
電車の場合は、京阪電車かJR&市営地下鉄を利用する方法がおすすめ。ともに東福寺駅から東福寺までは、徒歩10分ほどで行けます。
バスを利用する場合は、京都市バス利用で東福寺バス停下車し、徒歩4分で東福寺に到着します。
京都駅からバスに乗った方が乗車時間はやや短いものの、非常に混雑しやすいため四条河原町や東山三条、あるいは祇園から乗った方が混雑しにくいでしょう。
東福寺 住所:京都府京都市東山区本町15丁目778 営業時間:8:30〜16:00(時期によって異なる。詳細はHPを確認) HP:https://tofukuji.jp/ |

周辺の観光スポット
東福寺の近くには、赤い鳥居がズラッと並ぶ千本鳥居が有名な伏見稲荷大社や、1,000体を超える観音様が安置されている三十三間堂など、見どころがたくさんあります。
見ごたえのある神社仏閣が多いので、訪れた後はゆっくり心を落ち着けたり一緒に行った方と感動を共有したりする時間がほしくなりますよね。
そこで、ここでは観光の合間にほっとひと息つけるおすすめのカフェを紹介します。主に東福寺と伏見稲荷大社との間にあるカフェを紹介するので、両方訪れたい方は参考にしてください。

Vermillion – cafe./espresso bar & info.
伏見稲荷大社のある稲荷山巡りの途中にある薬力社。健康のご利益を頂けるお社であり、多くの方が訪れています。その近くに、参拝者が休憩所として立ち寄る茶屋さん「薬力亭」があります。
Vermillionは、そんな薬力亭を代々引き継ぐ店主が開いたカフェです。店主が18年間過ごしたオーストラリアのメルボルンのカフェをイメージしたんだそう。
伏見稲荷大社のふもと、八嶋ヶ池の近くには「Vermillion -cafe.」があり、JR稲荷駅の近くには「Vermillion – espresso bar & info.」があります。
こだわりのスペシャリティコーヒーとケーキや焼菓子のほか、京都の食材をたっぷり使ったランチが食べられます。ヴィーガン・ベジタリアンメニューもあり。

Banff
地元に愛されている愛煙家におすすめの喫茶店。
京都では定番の卵サンドと美味しいコーヒーが楽しめます。鳥羽街道駅すぐ近くにあるので、こちらで腹ごしらえしてから東福寺や伏見稲荷大社を巡るも良し。
▶Banff
画像引用:https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260601/26031281/

